VPN(Virtual Private Network=仮想専用線)サービスがスタートするまでは、企業ネットワークとして、いわゆる「専用線」が利用されていました。
専用線とは、その名の通り、利用者ごとに「専用」でネットワークを確保します。
例えば、とあるA社が東京-大阪間をつなぐ場合は、回線をA社「専用」に1回線を確保していました。
東京と大阪間400Kmを企業ごとに1本の線で結ぶのですから、高額になるのは当然といえば当然です。
- < 図:東京-大阪間を結んだ場合のネットワーク構成 >
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東京-大阪間の2点間を結ぶだけでも、月額数十万円から数百万円の費用がかかっていました。
- < 図:全国網を構築した場合のネットワーク構成 >
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また、全国網を構築した場合の図がこちらです。
東京、大阪、仙台、札幌、福岡の各拠点を結ぶ場合は、このような形で、それぞれの拠点ごとに専用線を利用していました。
この場合であれば、たった5拠点を接続するために全体で全国をほぼ縦断する約2000Kmもの長さの専用線を確保する必要あります。
- この専用線には、大きく2つの弱点がありました。
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- 距離に依存した料金体系で、離れた拠点同士の接続では非常に高額になる
- ネットワーク構成上、ある1カ所で起きた障害の影響範囲が大きい
(図の例では、大阪拠点のルータが故障した場合は、福岡拠点でも通信ができなくなります)
このような弱点を持った専用線。これらの弱点を克服するために、考えられたのがVPN(=Virtual Private Network)です。ただし、一口に「VPN」といっても様々な技術・サービスがあります。次回からは、これらの技術・サービスについて一つ一つ解説していきます。
まず、第2回目は、IP-VPNです。